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なんなら、嫌がらせをしてくる。
だから、ハンナが絵の具をもえらえなかったら、最終的に『黒のみでも構いませんから、絵の具をいただけませんか?』と言うように指示した。
黒のみの寂しい絵が出来あがると思って、面白がり黒の絵の具をたくさんくれるだろうと予想したのだ。
私の予想通り、黒の絵の具をたくさんくれた。
「ハンナ。ありがとう。これだけ絵の具があれば、じゅうぶんよ」
「でも、黒ですよ?」
「黒でいいのよ。ハンナ、二人の服が汚れないようエプロンをつけて、袖をまくってくれるかしら。私は絵を描く準備をするわ」
「はい」
部屋で絵を描くと、絵の具だらけになるかもしれないので、外で絵を描くことにした。
この庭園がある場所は皇妃の部屋の前で、完全に私的なスペースだ。
皇宮でも奥にあり、立ち入る人間は限られているため、来客の心配はない。
――人目があると、魔法も使いづらいしね。
現在、私がクリスティナより優位に立てるものがあるとするなら、魔法が使えるという点のみ。
魔法が切り札になる。
――切り札はとっておかないとね。
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