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だから、今のところ魔法が使えますと宣言するつもりはなかった。
「でも、ハンナにはわかってしまうかも」
子供たちの世話をしてくれる乳母のハンナ。
ハンナはアーレントとフィンセントに白いエプロンをつけていた。
「あーれ、かあい?」
「とてもお似合いです!」
「ふぃんは?」
「まるで画伯のようですわ! 宮廷画家もお二人には敵いません」
ハンナはアーレントとフィンセントにメロメロである。
今だけでなく、着替えのたびにああなのだ。
年の割に冷静で落ち着いているハンナだけど、子供たちには弱い。
「さてとやりますか」
ガーデンテーブルの上に置かれた黒の絵の具。
いくつもある黒の絵の具に、指を触れさせる。
この世界において魔法とは、物質の作用と変化である。
変化させるには、まずは【鑑定】魔法を使う。
この【鑑定】魔法によって、物質の性質を調べ、目的の物に変化させるための答えを導き出す。
膨大な知識量と魔力がなければ、【鑑定】したところで、答えとなる魔法は浮かび上がらない。
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