6 あなた、侵入者ですよ?

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 だから、今のところ魔法が使えますと宣言するつもりはなかった。   「でも、ハンナにはわかってしまうかも」  子供たちの世話をしてくれる乳母のハンナ。  ハンナはアーレントとフィンセントに白いエプロンをつけていた。 「あーれ、かあい?」 「とてもお似合いです!」 「ふぃんは?」 「まるで画伯のようですわ! 宮廷画家もお二人には敵いません」  ハンナはアーレントとフィンセントにメロメロである。  今だけでなく、着替えのたびにああなのだ。  年の割に冷静で落ち着いているハンナだけど、子供たちには弱い。 「さてとやりますか」  ガーデンテーブルの上に置かれた黒の絵の具。  いくつもある黒の絵の具に、指を触れさせる。  この世界において魔法とは、物質の作用と変化である。  変化させるには、まずは【鑑定】魔法を使う。  この【鑑定】魔法によって、物質の性質を調べ、目的の物に変化させるための答えを導き出す。  膨大な知識量と魔力がなければ、【鑑定】したところで、答えとなる魔法は浮かび上がらない。
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