6 あなた、侵入者ですよ?

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 浮かび上がった魔法をいくつも重ね、物質を変化させる。  この変化のスピードは頭の回転と判断力が必要になり、いかに早く詠唱できるかが優秀な魔法使いの条件である。 「【色彩】」  黒いインクを【鑑定】するのと、ほとんど同時に、自分が持つ魔法の中から、必要な魔法を選び出し、鮮やかな赤と青などの色に変える。  一瞬で色が変わったように見えるかもしれないけれど、いくつもの魔法が高速で構築され、【色彩】の魔法を完成させている。 「うん、完璧!」  テーブルの上に置かれた絵の具の色が増えた。  ハンナはそれを見て驚いていた。 「皇妃様。絵の具は黒色しかありませんでしたよね?」 「魔法を使ったの」 「ええっ!?」  ハンナは信じられないようで、何度も絵の具を確認する。 「でも、ユリアナ様は魔法を使えなかったはず……」 「あーれ、あか! あかいろ!」 「ふぃん、あお!」    混乱するハンナをよそに、アーレントとフィンセントは絵を描き始めた。  私もレクスに手紙を書く約束をした手前、なにか書かなくてはならない。 「うーん、そうね……」
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