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レクスに手紙なんて、正直まったく思い浮かばなかった。
庭の花を眺め、頬杖をつく。
――敵だったレクスに手紙を書くなんて、複雑な心境だわ。
とりあえず、日々の出来事をあたりさわりない程度に書くことにした。
「おかーしゃま、あーれのみてっ!」
「ふぃんのも!」
絵の具だらけになりながら、アーレントとフィンセントが出来上がった絵を持ってきた。
「二人とも上手ねぇ」
「こりぇ、くっつけるの」
「おとーしゃま、おかーしゃま、あーれ、ふぃん!」
二枚の絵を繋げると、家族の絵になった。
「素敵な絵だわ。二人とも天才ね!」
アーレントとフィンセントを抱き締めた。
「皇妃様。絵の具がつきますわ」
ハンナが慌てていたけど、二人は大喜びだ。
「ぎゅー」
「えへへ」
なんとも言えない天使の微笑みである。
「二人とも、私の部屋に飾りたいくらい上手ね」
レクスにわかるようアーレントとフィンセントが描いた絵に、それぞれ名前を書いておく。
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