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戦った時、彼らは十八歳くらいだったはず。
乳母に抱かれて、泣きわめく無害な子供ではなかった。
それで、ようやくわかってきた。
――どうやら、ユリアナの姿になっただけじゃなく、私が皇帝一家と戦った時間軸より過去の世界にきているようね。
「お前は死にたくなるほど、俺を嫌っているのか」
サファイアの瞳は氷のように冷たく、死を選んだ妻を軽蔑しているように見えた。
そして、私から目をそむけ、去っていこうとする。
――え? 無視された? 毒で倒れている妻をまさかの放置?
死ぬかもしれない妻を放置して、どこへ行くつもり?
レクスの態度に乳母はうろたえ、一緒にいた女性の顔を見る。
その女性は――
「皇帝陛下、お待ちください! 皇妃様がお可哀想です! どうか医術師を呼んでくださいませ!」
私を助けるよう必死に訴え、レクスの前に飛び出したのは茶色の髪にスフェーンの瞳を持つ女性だった。
――クリスティナ!?
私を助けるように懇願したのは、ユリアナからすべてを奪う伯爵令嬢クリスティナだった。
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