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アーレントは赤い服、フィンセントは青い服というように、好きな色を服に使っていたから、見分けるのは簡単だった。
「皇妃様も皇帝陛下に手紙を書かれたのですか?」
「ええ。手紙を書く約束をしたの」
「きっと喜ばれます」
なりゆきとはいえ、約束は守る。
手紙の内容は今日の出来事くらいで、たいしたことは書いてない。
あとはレクスに渡すだけと思い、くつろいでいると――
「こんにちは! 皇妃様!」
「え……? クリスティナ?」
突然、クリスティナが現れた。
――どういうこと? この庭は皇妃の部屋の一部なのに、いったい誰が許可したの?
クリスティナは皇妃の私的な場所に、無断で立ち入った侵入者である。
まさかの訪問に、私だけでなく、ハンナとアーレント、フィンセントが同時に動きを止め、クリスティナを見た。
「皇妃様に会いに来ました。会いたいって言ったら、皇帝陛下が許可してくれたんです!」
彼女は明るい笑顔を浮かべ、私に皇宮内での優位な立場を見せつけたのだった。
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