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アーレントとフィンセントは人見知りしているのか、私の後ろにさっと隠れた。
それでも、クリスティナは怯まず、笑顔で近づいてくる。
「驚かせてしまいましたよね?」
「そうですね。ここは誰でも入れる場所ではありません」
クリスティナが皇宮の人々から気に入られているのは知っている。
でも、まさか皇妃の私的な庭に、堂々と入ってくるなんて思わなかった。
「ごめんなさい。どうしても皇妃様にお会いしたかったんです」
「私に会いたかった?」
「ええ。ですから、皇帝陛下にお願いしたんです。そうでもしないと、皇妃様はお会いしてくださらないし」
クリスティナはちらりと後ろを見る。
――レクスも一緒にきたの?
クリスティナの視線の先に、不機嫌顔のレクスがいた。
執務を途中にし、クリスティナのお願いを聞くなんて、レクスが彼女を気に入っている証拠だ。
「皇帝陛下に似て、アーレント様もフィンセント様もお可愛らしいですね。あっ! 皇帝陛下に対して、可愛いなんて……失礼しました」
クリスティナはしゅんっとして、肩を落とす。
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