7 令嬢の正体

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「子供の頃、一度も可愛いと言われたことがなかったな」  レクスは気にしていないようだ。 「そんなことないです! 私が初めて見た皇帝陛下は、とても美しくて近寄りがたい存在でした」    頬を赤らめ、クリスティナはレクスに言った。 「ですから、こうしてお話できるだけで、夢のよう……」  感情が高ぶったせいか、クリスティナは泣き出した。  レクスは困った顔をしていたけど、慕われて嫌な気分になる人はいない。 「申し訳ありません。皇妃様の前でこんな醜態を見せるつもりはなかったんです」 「気にしていませんよ。それで、クリスティナが私に会いたかった理由は、なにかしら?」 「はい! 先日、皇妃様からいただいたドレスのお礼を言いたくてまいりました!」  さっきまで泣いていたクリスティナ。  あの涙はどこへいったのか、元気よく答え、緑のドレスをひらひらさせて、私の前でくるりと回ってみせた。  皇宮がクリスティナのために作ったドレスは、サイズもちょうどよく、色も明るい緑色。  まるで、春の花のよう。
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