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皇宮の経費で伯爵令嬢でしかないクリスティナのドレスを作るということは、いずれ、彼女を皇宮へ迎えるつもりだとわかる。
「とてもよく似合っていますね」
――皇宮内で、ユリアナの味方を探すのは無理そうね。
クリスティナがドレスをふわりとさせた時、とても可愛らしくて、全員の目を奪ったからだ。
魅力的なクリスティナ。
ユリアナから、すべてを奪ったというのもわかる気がする。
「おかーしゃま、いちばん、きれえ」
「いちばん、なの!」
アーレントとフィンセントは絵筆を握りしめ、得意顔で言った。
――味方はいるわ。
「ありがとう。アーレント、フィンセント。お母様も二人が一番よ」
ユリアナは子供たちを遠ざけてしまったけど、私はこの二人をまっとうな人間に育てると決めている。
レクスがクリスティナを妃に迎えようが、私にはどうでもいいことだ。
「皇妃様は子供が一番ですか?」
クリスティナはちらりとレクスを横目で見る。
まるで、自分は違いますという顔で――レクスのほうはいつもと同じ不機嫌な顔をしている。
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