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「俺は戻る。クリスティナはユリアナと話せたら、気持ちが落ち着くそうだ。これで手紙の返事をもらえなくても問題ないな?」
「は、はい……」
クリスティナががっかりしたのがわかった。
――レクスがクリスティナを連れてきたのは、手紙の件があったからなのね。
私から手紙の返事が届かないと、レクスに言っていたクリスティナ。
それを黙らせるために、レクスはクリスティナをここへ連れてきたらしい。
直接話せば、手紙は必要ない。
「あのっ! 私も皇帝陛下と一緒に戻ります。皇妃様にドレスのお礼をお伝えすることができましたし、皇帝陛下のおそばにいたいんです」
クリスティナの瞳がレクスを見つめる。
「おかしな奴だな」
レクスはさっさと歩きだし、その後ろをクリスティナが追いかけていった。
手紙をレクスが喜んだかどうかわからなかった。
でも、なにか一言くらいあってもいいと思う。
「アーレントとフィンセントの絵を返してほしいわ。私なら、喜んで飾っておくのに!」
「そうですよね。とても素晴らしい出来映えでした」
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