7 令嬢の正体

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 私がかけた守護魔法は、反撃効果をそなえ、攻撃を防ぐだけでなく、危害を加えた相手に跳ね返る魔法となっている。  仕返しつきの大サービス魔法である。  ――無傷じゃすまないけど。大丈夫かしら? 「あーれ、まほうつかえる」 「ふぃんも!」   ハンナが驚いて、双子を見る。 「アーレント様とフィンセント様は魔法が使えるのですね。レクス様もですから、当然といえば、当然なのですけど」  ――ハンナは私が魔法を使えるとは思ってないみたいね。  ハンナはユリアナが魔法を使えるわけがないと思い込んでいる。  魔法は先天的な才能であって、急に使えるようになるものではないからだ。 「なんて天才なんでしょう! ルスキニア帝国の未来が明るく感じますわ!」  ハンナは喜んでいたけど、私は喜べなかった。  アーレントたちが書いた魔女の絵は可愛かったけれど、それがよけい不気味に見えた。  ――クリスティナが魔女かもしれない。  もう姿は見えないのに、私はレクスとクリスティナが去った方角を眺めていた。
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