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彼女の容姿は普通でなんの特徴もないけれど、クリスティナには周囲から愛される絶対的な力があった。
レクスが私に倒された後、皇帝一家の暴走を止められなかったとして、人々に謝罪し、命だけは救われたクリスティナ。
裁くのは大魔女の仕事ではないから、倒した後は干渉しなかった。
クリスティナと私に会話はなく、遠くから容姿だけを確認しただけだったから、しっかり見たのはこれが初めてだ。
「皇帝の前に飛び出すとは、いい度胸だな」
「申し訳ありません」
凄むレクスにクリスティナはおびえながら、両手を胸の前に組み、祈る仕草をした。
たったそれだけなのに、彼女の周りにはキラキラした光のようなものが見えた。
「ユリアナが自分で毒を飲み、死を望んだのだ」
「皇帝陛下。どうかお願いします。皇妃様をお救いくださいませ」
クリスティナはためらわずに、土の上に跪き、頭を垂れた。
ドレスが土で汚れても、クリスティナは気にせず、微動だにしなかった。
「やめろ。土で汚れる」
「まだ幼い皇子様方には母親が必要です!」
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