1 愛されない皇妃

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 彼女の容姿は普通でなんの特徴もないけれど、クリスティナには周囲から愛される絶対的な力があった。  レクスが私に倒された後、皇帝一家の暴走を止められなかったとして、人々に謝罪し、命だけは救われたクリスティナ。  裁くのは大魔女の仕事ではないから、倒した後は干渉しなかった。  クリスティナと私に会話はなく、遠くから容姿だけを確認しただけだったから、しっかり見たのはこれが初めてだ。 「皇帝の前に飛び出すとは、いい度胸だな」 「申し訳ありません」  凄むレクスにクリスティナはおびえながら、両手を胸の前に組み、祈る仕草をした。  たったそれだけなのに、彼女の周りにはキラキラした光のようなものが見えた。 「ユリアナが自分で毒を飲み、死を望んだのだ」 「皇帝陛下。どうかお願いします。皇妃様をお救いくださいませ」  クリスティナはためらわずに、土の上に跪き、頭を垂れた。  ドレスが土で汚れても、クリスティナは気にせず、微動だにしなかった。 「やめろ。土で汚れる」 「まだ幼い皇子様方には母親が必要です!」
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