8 周囲を魅了する令嬢

3/10
前へ
/266ページ
次へ
 神殿が決めたルールに違反するだけでなく、普通の人間よりも欲望が強い。 「凄まじいっていうか……」  極端な例だけど、【宝石好きな魔女】と呼ばれた魔女は、宝石を求め続け、宝石の山に埋もれて命を落とした。  死ぬまで狂ったように集め続ける姿は異様だった。    ――待って? そうなると、【怠惰】と呼ばれた私は永遠に仕事をしたくないってこと?    ただの悪口である可能性が高いけど、心当たりがないか、ちょっと考えてみた。 「……まあ、そうね。間違いではないわ。ということは、仕事をしなくても許される!」  弟子が私の発言を聞いたら、攻撃魔法を連続でぶちかましてきただろう。  幸運にも弟子はここにいなかった。 「最近のユリアナ様、なんだか不気味じゃない?」 「お茶会を開きたいっていうから準備をして、令嬢を招待したのにまったく興味がないみたいだし……」 「なにを考えていらっしゃるか、わからないわ」  侍女たちがひそひそと、私のほうを見て話していた。  私は皇妃主催のお茶会を開いた。  ユリアナになって、初めて皇妃らしいことをした気がする。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1204人が本棚に入れています
本棚に追加