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「まあ、可愛い兵隊さんね」
子供には退屈なお茶会だったけど、アーレントは無邪気に、木彫りの兵隊で遊んでいる。
「お気に入りのおもちゃを皇妃様に見せたいとおっしゃられたんですよ」
ハンナが教えてくれた。
アーレントに負けじと、フィンセントも自分のお気に入りを見せる。
「ふぃんのも!」
「かっこいい弓矢ね……って、本物!?」
フィンセントが持っていたのは弓矢だった。
ゴム製かと思ったら、鋭い矢じりが輝く本物である。
「本物の武器を小さい子供に持たせるなんて危ないわ。誰がこんなものを……」
フィンセントの弓矢を没収した私に、ハンナがうやうやしい態度で答えた。
「おそれ多くも皇帝陛下から、直々に贈られた品でございます」
「いくらなんでも早すぎるわよ」
「皇子たちがたくましい子に育つようにとおっしゃられまして、早くから武器に慣れ親しませたいとお考えのようです」
――あの男、なに考えてるの? よちよち歩きの幼児が、本物の弓矢を扱えるわけないでしょっー!
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