1203人が本棚に入れています
本棚に追加
声を大にして言いたかったけど、貴族令嬢たちの目があるため、グッとこらえた。
「そう。教育方針ね。せめてゴム製にしてもらえないかしら?」
「でも、皇帝陛下からのお許しが……」
「ゴム製にして、弓矢の練習をさせたほうが身に付くでしょう?」
ハンナが私の提案に目を輝かせた。
「やるなら、本気でやれということですね!」
「え? 殺れ? そっちの殺れじゃなく……」
安全な子供用のおもちゃにしてほしいと、要求したつもりだったのに、なんだか違う方向へいってしまった。
そんなことをハンナと話していると――
「クリスティナ様! どうなさったの?」
「ひどい怪我をなさってるわ」
弓矢に気をとられ、お茶会の様子を眺めるのを忘れていて、クリスティナがやって来たのに気づくのが遅れた。
でも、遅れても問題はなかった。
なぜなら、クリスティナの怪我はパッと見て、すぐにわかるもので、かなり手痛い反撃を受けていたからだ。
――やっぱり魔女なのね。
クリスティナの怪我は、彼女が魔女である証拠。
アーレントとフィンセントは正しかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!