8 周囲を魅了する令嬢

6/10
前へ
/266ページ
次へ
 声を大にして言いたかったけど、貴族令嬢たちの目があるため、グッとこらえた。 「そう。教育方針ね。せめてゴム製にしてもらえないかしら?」 「でも、皇帝陛下からのお許しが……」 「ゴム製にして、弓矢の練習をさせたほうが身に付くでしょう?」  ハンナが私の提案に目を輝かせた。 「やるなら、本気でやれということですね!」 「え? 殺れ? そっちの殺れじゃなく……」  安全な子供用のおもちゃにしてほしいと、要求したつもりだったのに、なんだか違う方向へいってしまった。  そんなことをハンナと話していると―― 「クリスティナ様! どうなさったの?」 「ひどい怪我をなさってるわ」  弓矢に気をとられ、お茶会の様子を眺めるのを忘れていて、クリスティナがやって来たのに気づくのが遅れた。  でも、遅れても問題はなかった。  なぜなら、クリスティナの怪我はパッと見て、すぐにわかるもので、かなり手痛い反撃を受けていたからだ。  ――やっぱり魔女なのね。    クリスティナの怪我は、彼女が魔女である証拠。  アーレントとフィンセントは正しかったのだ。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1203人が本棚に入れています
本棚に追加