8 周囲を魅了する令嬢

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 たいていの者は神殿を恐れ、使用しないのだけど……   「どちらで怪我をされたのかしら?」  私がクリスティナに尋ねると、令嬢たちはおしゃべりをやめた。 「これは、その……。突然、怪我をして……」  クリスティナは言葉を濁し、はっきり答えなかった。    ――【魅了】の魔法を皇子に仕掛けて反撃したなんて言えば、牢屋行き。言えるわけないのよね。   「そう。早く治るとよろしいわね」  残念ながら、私の守護魔法によって反撃された傷はなかなか治らない。  弟子に『師匠の血の色は緑ですか?』とよく言われた。  二度と攻撃しないと思い知らせるため、傷が一度塞がっても、同じ場所に新しい傷が、繰り返しできるようになっている。  呪いを受けたのと同じ状態である。  一定の期間が経てば、傷は綺麗に治るけど、その代わり、治癒魔法はいっさいきかない。  治癒するまでの期間、痛みに苦しむだろう。  罪人にふさわしい魔法である。 「この傷はなかなか治らないようです……」  治らないとクリスティナもわかっている。
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