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痛む頬に手をやり、肩を震わせ泣いていた。
「おかわいそうなクリスティナ様!」
「もしかして、あの傷は暴漢に襲われたとか?」
「ありえるわよ。クリスティナ様は皇帝陛下に気に入られているから、嫉妬されたのよ」
令嬢たちはクリスティナに同情し、私には軽蔑のまなざしを向ける。
【魅了】の魔法を使わなくても、すでに嫌な女として認識された私がクリスティナを傷つけたのではと疑われていた。
令嬢たちはクリスティナに寄り添い、優しい声をかける。
「クリスティナ様。皇帝陛下にお願いして、薬をいただいたらどうかしら?」
「皇宮の医術師なら、きっと綺麗に怪我を治してくださるわ」
残念ながら、優秀な医術師も神殿の神官も、私の魔法を無効にできる者はいない。
そう思いながら、お茶を飲んでいると、クリスティナは青ざめた顔で、私に頭を下げた。
「皇妃様から皇帝陛下にお願いしてくださいませんか?」
「私から? なにをお願いするの?」
私がお願いするより、クリスティナからお願いしたほうが、レクスは喜んで聞いてくれそうだけど。
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