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アーレントとフィンセントは泣き続け、それを見たレクスがため息をついた。
「皇宮にいる医術師を呼べ。ユリアナを治療しろ」
皇帝の命令だけあって、すぐに人が駆けつけた。
「皇帝陛下、ありがとうございます!」
クリスティナはホッとしたように、両手を胸の前で握りしめて微笑んだ。
周囲は可憐なクリスティナに癒やされて、自然と明るくなる。
それに比べ、ユリアナの周囲は暗く、侍女たちも陰気だ。
医術師たちが駆けつけ、毒の症状を和らげる薬を飲ませた。
――にっ、苦い!
薬はなるべく甘くしてから飲むのが、大魔女流だ。
医術師たちがさらに、苦くてまずそうな薬を取り出してきたのを見て、慌てて魔法を構築する。
重なる私の魔力によって作られた魔法は、積み木のように重なっていく。
【鑑定】、【浄化】、【作用】――複数の力が積み重なって、ひとつの魔法が完成する。
「【解毒】」
ユリアナは魔法を使えないため、魔法を使ったことがバレないように、小声で唱えた。
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