1 愛されない皇妃

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 アーレントとフィンセントは泣き続け、それを見たレクスがため息をついた。 「皇宮にいる医術師を呼べ。ユリアナを治療しろ」  皇帝の命令だけあって、すぐに人が駆けつけた。 「皇帝陛下、ありがとうございます!」    クリスティナはホッとしたように、両手を胸の前で握りしめて微笑んだ。  周囲は可憐なクリスティナに癒やされて、自然と明るくなる。  それに比べ、ユリアナの周囲は暗く、侍女たちも陰気だ。  医術師たちが駆けつけ、毒の症状を和らげる薬を飲ませた。  ――にっ、苦い!  薬はなるべく甘くしてから飲むのが、大魔女(ヘルトルーデ)流だ。  医術師たちがさらに、苦くてまずそうな薬を取り出してきたのを見て、慌てて魔法を構築する。  重なる私の魔力によって作られた魔法は、積み木のように重なっていく。  【鑑定】、【浄化】、【作用】――複数の力が積み重なって、ひとつの魔法が完成する。   「【解毒】」  ユリアナは魔法を使えないため、魔法を使ったことがバレないように、小声で唱えた。
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