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アーレントとフィンセントの未来だけでも救ってあげたい。
二人を抱き締め、顔を前に向ける。
「皆様のお気持ちはよくわかりました」
威厳を持って、その場をゆっくり見回すと、貴族令嬢たちが静かになった。
「ルスキニア皇宮の主はレクス様。私ではなく、皇帝陛下が決めることではありませんか?」
「そのとおりだ」
その声に驚き、声がしたほうに視線をやった。
タイミングよく現れたのは、侍従を連れてやってきたレクスだった。
侍従に案内されてやってきたレクスだけど、私のお茶会に参加するとは聞いていなかった。
――いったい、レクスはなにしにきたの?
突然現れたレクスに驚いたのは、私だけでなく、貴族令嬢も同じだ。
「皇帝陛下よ……」
「皇帝陛下がいらっしゃったわ」
貴族令嬢たちはレクスを恐れて跪き、頭を垂れる。
さっきまで見せていた態度と大違いだ。
「妃がお茶会を開いたと侍従から聞いた」
「事前にレクス様にお伝えし、お茶会を開く前に、皇宮の了承をいただいております」
私にぬかりはない。
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