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レクスはそばにいた侍従を軽くにらむ。
――やっぱり伝えてなかったのね。
私が勝手にお茶会を開いていると、レクスに言って、印象を悪くしようとしたに違いない。
「皇宮には皇帝に嘘をつく人間がいるらしい」
レクスがパチンと指を鳴らすと、兵士が現れ、侍従は捕らえられた。
「ひっ! お許しください! 皇帝陛下!」
「虚偽しか口にできぬなら、二度と話ができないようにしろ」
令嬢たちは青ざめ、うつむいて震えていた。
侍従の悲鳴が明るい庭園に響く。
――すでに悪逆皇帝の素質があるわね。
でもこれは、アーレントとフィンセントの教育上、よろしくない。
「レクス様。侍従がどのようにお伝えしたのか知りませんが、私の言葉を誤解したのかもしれません」
「誤解だと?」
「はい。女性ばかりのお茶会ですから、レクス様は退屈かもしれませんと侍従に伝えました」
これは事実だ。
そもそも、お茶会はクリスティナをおびき寄せるためのもので、レクスが顔を出すとは思っていなかった。
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