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「お忙しいレクス様が、私のお茶会へ参加する必要がないと、侍従が判断するのもしかたのないことです」
「それは本当か?」
侍従は恐怖から、首を縦に振る。
「ならば、皇妃に免じて今回は赦そう」
ホッとした空気が流れた。
でも、貴族令嬢たちに勢いはなくなり、恐怖で顔をこわばらせていた。
――父と兄を殺して、レクスは皇帝になったけど、自分の敵に回った貴族たちを粛清したのよね。
多くの貴族が対象になったと聞く。
即位からして血なまぐさいレクス。
そんなレクスに嫁いだグラーティア神聖国の王女ユリアナは、貢ぎ物と同じだと言われていた。
ルスキニア帝国に攻め滅ぼされたくないグラーティア神聖国が、ユリアナを差し出した……
「ユリアナ」
「なんでしょう?」
「お茶会は楽しめているか?」
もしかして、レクスなりに気遣ってくれているのだろうか。
「ええ。庭に素敵なお茶会を用意してくださり、ありがとうございます」
「俺が用意したわけではないがな」
レクス自身がなにかしたかったから、侍従にあれほど怒ったらしい。
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