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かなり、わかりにくい愛情表現である。
侍従への仕打ちのほうが、印象に残り、レクスの親切はミジンコくらいにしか感じ取れない。
――なんて不器用な。
そう思っていると、クリスティナがレクスに近づこうとしていた。
「皇妃様からご招待いただけたのは、皇帝陛下のおかげです」
クリスティナのスフェーンの瞳が、きらきらと輝き、レクスに【魅了】の魔法を上書きした。
さきほどレクスが、ユリアナに愛情を示したから、急いで魔法をかけ直したのだと思う。
「クリスティナか。それはよかったな」
「はい。皇妃様が私と仲良くしてくださって嬉しいです」
これで間違いなく、クリスティナが魔女だとわかった。
――私の知り合いに【魅了】の魔法が得意だった魔女っていたかしら?
幻影系の魔法は、自分より魔力が弱い者か、心に隙がある者がかかりやすい。
魔力を持たない普通の人間にとって、【魅了】の効果は絶大だ。
現にクリスティナの【魅了】の魔法は、ルスキニア皇宮を支配し、私と対等に戦えたレクスでさえ、魔法の影響を受けている。
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