9 決意

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 かなり、わかりにくい愛情表現である。  侍従への仕打ちのほうが、印象に残り、レクスの親切はミジンコくらいにしか感じ取れない。  ――なんて不器用な。  そう思っていると、クリスティナがレクスに近づこうとしていた。   「皇妃様からご招待いただけたのは、皇帝陛下のおかげです」  クリスティナのスフェーンの瞳が、きらきらと輝き、レクスに【魅了】の魔法を上書きした。  さきほどレクスが、ユリアナに愛情を示したから、急いで魔法をかけ直したのだと思う。 「クリスティナか。それはよかったな」 「はい。皇妃様が私と仲良くしてくださって嬉しいです」  これで間違いなく、クリスティナが魔女だとわかった。  ――私の知り合いに【魅了】の魔法が得意だった魔女っていたかしら?  幻影系の魔法は、自分より魔力が弱い者か、心に隙がある者がかかりやすい。  魔力を持たない普通の人間にとって、【魅了】の効果は絶大だ。  現にクリスティナの【魅了】の魔法は、ルスキニア皇宮を支配し、私と対等に戦えたレクスでさえ、魔法の影響を受けている。
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