9 決意

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 ――心の隙があったから、【魅了】されたのよね。レクスの心の隙ってなんだったのかしら?  あのほとんど表情を変えない冷徹な男の弱点。  ――弱点があるなら知りたいわ。  今のところ、クリスティナはレクスの心を完全に支配できていないようだ。  さっき、急いで【魅了】の魔法を使ったのが、その証拠である。 「ひどい怪我だな」  レクスはクリスティナの顔にあてられた白い布と、手の包帯に目をやった。 「はい……。実は、私が受けた傷は、呪いによるものなのです」  ――呪い!? なにを言ってるの?    どうやら、クリスティナが怪我の理由をなかなか口にしなかったのは、呪いを主張するためだと知った。  それも、レクスに聞かせたかったのだ。  呪いと聞いた令嬢たちが騒ぎ出した。 「呪いですって!」 「それって、もしかして……」  クリスティナは慌てて否定した。 「違います! 私を呪った方が、どなたなのかわかりません。きっと、でしゃばりすぎた私を疎ましく思われたのでしょう」  レクスとクリスティナの仲は皇宮公認である。
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