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――心の隙があったから、【魅了】されたのよね。レクスの心の隙ってなんだったのかしら?
あのほとんど表情を変えない冷徹な男の弱点。
――弱点があるなら知りたいわ。
今のところ、クリスティナはレクスの心を完全に支配できていないようだ。
さっき、急いで【魅了】の魔法を使ったのが、その証拠である。
「ひどい怪我だな」
レクスはクリスティナの顔にあてられた白い布と、手の包帯に目をやった。
「はい……。実は、私が受けた傷は、呪いによるものなのです」
――呪い!? なにを言ってるの?
どうやら、クリスティナが怪我の理由をなかなか口にしなかったのは、呪いを主張するためだと知った。
それも、レクスに聞かせたかったのだ。
呪いと聞いた令嬢たちが騒ぎ出した。
「呪いですって!」
「それって、もしかして……」
クリスティナは慌てて否定した。
「違います! 私を呪った方が、どなたなのかわかりません。きっと、でしゃばりすぎた私を疎ましく思われたのでしょう」
レクスとクリスティナの仲は皇宮公認である。
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