9 決意

7/10
前へ
/266ページ
次へ
 誰もが、二人を祝福している中、唯一反対する者がいるとするなら、私しかいない。  私が呪ったと言っているようなものだった。 「おかーしゃま、ちがう!」 「わるい、まじょ! めっ!」  おとなしく座っていたはずのアーレントとフィンセントが暴れ出した。  ハンナが慌てて駆け寄り、二人をなだめる。 「まじょ! ばーん!」 「きらきら、わるい!」 「どうなさったのかしら? さっきまでご機嫌だったのに……」  クリスティナが魔女だと言いたいのだろうけど、子供たちの言葉を真面目に聞いている者はいない。  それは、レクスも同じで『悪い魔女? なにを言っているんだ?』という顔をしている。  でも、私はクリスティナの顔が一瞬、怯えたように歪んだのを見逃さなかった。  クリスティナは魔女であることを隠している。 「うわああああん!」 「まあまあ! どうしましょう! 泣き止んでくださいませ!」  ハンナが一生懸命なだめても泣き止む様子はなく、周囲もどうしていいかわからない。  アーレントとフィンセントが大泣きし、お茶会どころではなくなってしまった。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1205人が本棚に入れています
本棚に追加