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ハンナでは泣き止まず、私は二人を抱き上げた。
「子供たちはお昼寝の時間ですね。私はこれで失礼します」
席から立ち上がると、令嬢たちの悪意ある言葉が聞こえてきた。
「やっぱり呪ったのは、ユリアナ様ではなくて?」
「だから、逃げるのよ」
たしかに、クリスティナが怪我を負った原因は私にある。
でも、子供たちに魔法を使わなければ、怪我をすることはなかったのだ。
「皇妃様……。気分を害されましたよね。本当にごめんなさい……」
痛々しい姿のクリスティナが涙を流し、私に謝れば、どちらが悪者に見えるか――それは、はっきりしていた。
レクスは私に非難が集中したことに気づき、額に手をあてる。
夫の気を引くために毒を飲んだ挙句、嫉妬した令嬢に呪いをかける自分の妻。
面倒な女を妻にしたと思っているに違いない。
レクスはいつになく険しい顔をしていた。
「わかった。普通の怪我でないなら、皇宮の医術師に手当てをさせる。それでいいだろう」
――レクスがクリスティナの滞在を認めた。
それは、クリスティナを皇宮に迎えるということだ。
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