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皇帝が決めたなら、私に止められるはずもなく、ただ傍観するのみ。
「ありがとうございます! レクス様……あっ、いえ、皇帝陛下」
クリスティナが明るい表情で微笑み、周囲の令嬢たちと喜び合う。
「おめでとう。クリスティナ様!」
「皇宮に部屋をいただけるなんて、すごいわ!」
頬を染め、両手をぎゅっと胸の前で握りしめるクリスティナは本当に可憐で、純真な少女に見えた。
「あの……。皇妃様。私が皇宮に滞在しても本当によろしいのでしょうか?」
「レクス様が認めたなら、私が反対する理由はありません」
「そうではなく、皇妃様から認めていただきたいのです」
――妻公認の愛人になりたいということ?
図々しいにもほどがある――この瞬間、私の堪忍袋の緒がブッチーンと切れたのがわかった。
姿はユリアナであっても中身はヘルトルーデ。
しかも、クリスティナが魔女なら、魔法で反撃されたと気づいているはずだ。
高度な守護魔法に警戒せず、私を挑発するとはいい度胸。
――お望みどおり、その挑発に乗ってあげましょう。
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