1 愛されない皇妃

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 体から毒が消え、医術師が追加で、私に飲ませようとした薬をお断りした。 「ユリアナ様?」  しばらく自力で動けないはずだった皇妃が立ち上がり、土を手ではらい、優雅に微笑む。  全員が驚いた顔をしていた。 「体を支えてくれてありがとう。もう平気よ」  体を支えていた侍女が離れ、レクスが私を見る。  私を見つめる冷たいサファイアの瞳は、未来でも変わっていない。  ――いいえ。もっと酷薄としていて冷たかったわ。 「おかーしゃま、げんき?」 「いたいの、なおった?」 「すごく元気になったわ」  レクスはともかく、アーレントとフィンセントの双子皇子は無邪気だ。  けれど、この愛らしい顔に騙されてはいけない。  ルスキニア帝国の皇帝一家は人々を虐げ、暴虐の限りを尽くした悪党どもだ。 「おかーしゃまぁ!」 「だっこ、して!」  ――悪党なのよ! 悪党……くっ、可愛い!  人々が苦しむ姿を楽しみ、退屈しのぎの余興として処刑する恐ろしい皇帝一家のはずが、今は可愛い幼児である。  つい、可愛さに負けて抱っこしてしまう私。
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