10 夫は私を助けない

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 それでも、レクスとクリスティナの噂は消えない。  ――皇宮に滞在させてしまったから、消えるどころか、妃になる可能性が高くなっただけなのよね。  私を皇妃として扱ってくれるのはありがたいけど、クリスティナをどうにかできたわけではない。  この皇宮にクリスティナがいるのだ。 「皇妃様。私が聞いた話によると、クリスティナ様は毎日、皇帝陛下をお茶にお誘いしているそうですよ」 「そうなの」 「とても仲良くしていらっしゃるとか……」  ハンナが心配そうな顔で私に言った。 「レクス様が一人でいるよりいいと思うわ」 「皇妃様は寛大すぎますわ」 「そうかしら?」  だって私のほうは―― 「おかーしゃま、あーん」 「ふぃんも、あーんしゅる」    アーレントとフィンセントは競って、私に美味しいケーキを競って食べさせようとする。 「はい。あーん。まあ。美味しい」 「えへへ。こりぇも」 「いちご、あげりゅ」    幸せを満喫していた。  午後のお茶を楽しむ私と子供たちを眺ていた侍女たちが、話している声が聞こえてくる。
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