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それでも、レクスとクリスティナの噂は消えない。
――皇宮に滞在させてしまったから、消えるどころか、妃になる可能性が高くなっただけなのよね。
私を皇妃として扱ってくれるのはありがたいけど、クリスティナをどうにかできたわけではない。
この皇宮にクリスティナがいるのだ。
「皇妃様。私が聞いた話によると、クリスティナ様は毎日、皇帝陛下をお茶にお誘いしているそうですよ」
「そうなの」
「とても仲良くしていらっしゃるとか……」
ハンナが心配そうな顔で私に言った。
「レクス様が一人でいるよりいいと思うわ」
「皇妃様は寛大すぎますわ」
「そうかしら?」
だって私のほうは――
「おかーしゃま、あーん」
「ふぃんも、あーんしゅる」
アーレントとフィンセントは競って、私に美味しいケーキを競って食べさせようとする。
「はい。あーん。まあ。美味しい」
「えへへ。こりぇも」
「いちご、あげりゅ」
幸せを満喫していた。
午後のお茶を楽しむ私と子供たちを眺ていた侍女たちが、話している声が聞こえてくる。
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