10 夫は私を助けない

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 私の目の前で、無邪気にケーキを食べて喜ぶアーレントとフィンセント。  ルスキニア皇宮を【魅了】の魔法で混乱させる魔女が、なにをたくらんでいるかわからないけど、私は子供たちを守ってみせる。   「あの、皇妃様。のんびりお茶をなさっていて平気ですか? 皇帝陛下にもっとアピールしたほうがいいのではありませんか?」 「いいのよ」  ハンナはクリスティナに寵愛を奪われては困ると思っているようだけど、私は違う。  ――母親にはなるけど、レクスの妻になる覚悟はできてないの!  ここより未来で、悪逆皇帝のレクスを知っている私。  顔は最高だけど、性格は最悪。  人々を虐げ、気に入らない貴族を処刑し、神殿を燃やすとんでもない男だ。  私でさえ、神殿を燃やしたことは……なかったわよね?(うろ覚え)   「皇妃様が皇帝陛下にお願いすれば、きっと一緒にいてくださいます!」 「ハンナ。あなたの気持ちは嬉しいけれど、レクス様がクリスティナを愛しているのなら、止められないわ」 「そんな……」  ハンナがしょんぼりしていると、アーレントが私に花を差し出した。
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