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「あーれ。おかーしゃま、いちばん、しゅき」
「ふぃんも! いちばん!」
フィンセントは食べていたケーキを私にくれる。
「お母様も二人が一番っ……」
「ほう? 俺は何番目だ?」
二人を抱き締めようとした手は空振りした。
椅子から二人を抱きあげ、私から幸福を奪った悪どい男がいた。
「まっ、まあ! 皇帝陛下!」
「椅子をご用意して!」
庭園の木の陰から突然現れたレクス。
気配を消して近づくなんて卑怯だ。
温度を感じないサファイアの瞳が私を見下ろす。
「おとーしゃまも、しゅき」
「けん、ざくぅ! つよい!」
アーレントとフィンセントはレクスの首に抱きつき、嬉しそうな顔をしていた。
レクスは子供たちに尊敬されているようだけど、お手本にしてはいけない人間である。
「それで、俺は何番目だ?」
「順位をつけるものではありませんわ……」
しつこく聞いてきたレクスから目をそらした。
――私になんて答えろと!?
今まで、レクスはクリスティナとイチャイチャしてたくせに、なんて都合のいい男だろうか。
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