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――え? なに? それだけ?
そして、沈黙。
話題がなく、気まずいのに、レクスは頬杖をついて、眠そうにうとうとしていた。
ルスキニア帝国は戦の天才であるレクスが即位し、領土を拡大していった国である。
だから、レクスが多忙であるのはわかるけど、まともな夫婦の会話もない状況だ。
――私のほうから、レクスを無理矢理、叩き起こして会話するわけにもいかないし、なんだか気まずいわね。
「おとーしゃま、ねんね?」
「とんとん、する?」
「二人ともお父様は疲れているみたいだから、静かにしてあげましょう」
アーレントとフィンセントはつまらなさそうな顔をした。
「静かにするゲームよ。勝った人にはチョコレートをあげましょうね」
子供が大好きなお菓子はチョコレート。
とても甘いから、滅多にあげられない。
だから、子供たちにとって特別なお菓子なのだ。
アーレントとフィンセントは、慌てて口に手をやって、声を出さないようにする。
このまま、レクスが起きるまで、静かな時間が続くはずだった。
けれど――
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