11 守ったのは

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 犬に追いかけられて転んだクリスティナは、上半身を少しだけ起こし、上目づかいでレクスを見つめた。  彼女が自分になにを求めているかレクスはわからないようで、不思議そうな顔をしている。 「あ、あのっ、犬に驚いてしまって、足に力が入らず、立てないみたいです……」  レクスはやっと気づいたらしく、手を差し伸べた。  クリスティナは嬉々として、レクスの手を取り、立ち上がった。 「ありがとうございます。皇帝陛下に手を貸していただけるなんて、一生の思い出になります」  クリスティナはレクスに触れた手をぎゅっと握りしめ、恥ずかしそうに顔を赤らめた。  可憐な乙女そのものである。  私のほうは、両腕にアーレントとフィンセントを抱き締めていた。  ――レクスにお礼を言うタイミングを逃してしまったわ。  すでに向こうは二人の世界だろうし、邪魔する気はなかった。 「アーレントとフィンセントに怪我がなくてよかったわ」 「おかーしゃま。いぬ、いいこね?」 「きらきら、まほう、めっ!」
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