11 守ったのは

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 唸り声をあげている犬は【魅了】の魔法で操られ、犬たちは悪くないのだと、アーレントたちは言いたいようだ。    ――犬を思いやる心がある。  ここで、犬を助けられなかったら、子供たちはショックを受けるだろう。 「安心して。犬たちは私が助けるわ」    レクスや皇宮の人々に【魅了】の魔法を使ったクリスティナ。  今、クリスティナが狙っているのは子供たちだ。  『愛されない皇妃』から、すべてを奪う予定のクリスティナ。 【魅了】の魔法を子供たちに使い、私をさらに孤立させたいのはわかっていた。  けれど、クリスティナは誰が魔法を使ったかわからず、それを探るために猟犬をわざと放ったのだ。  ――レクスが守ってくれなかったら、私が魔法を使っていたでしょうけど。 「皇宮の犬が人を襲うとはどういうことだ。猟犬のしつけを担当した者を罰せよ」 「おとーしゃま! いぬ、きらきら!」 「まほう、めっ!」  アーレントとフィンセントが一生懸命説明していたけれど、人を襲ったのは事実だ。  魔法を使われた証拠はなく、レクスは立場上、犬を罰しなくてはならない。
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