11 守ったのは

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 でも、私は―― 「レクス様。待ってください。犬は悪くありません」 「悪くない? 襲われただろう?」 「いいえ。犬はクリスティナのひらひらしたリボンを追いかけたのですわ」 「リボン?」   クリスティナのドレスの後ろに長いリボンが垂らされている。  私は子供たちをハンナに預け、犬に向かって両手を広げ、ゆっくりと近づく。 「その証拠に犬は私に危害を加えません」 「皇妃様! 犬に近寄っては危ないですわ!」  クリスティナが叫ぶ。  まだ犬は【魅了】されたままで、クリスティナの意のままだ。  魔法を解く気はないらしく、犬を使って、私に大怪我を負わせようとしている。  ――我が(しもべ)に魔法は必要ないわ。  動物は魔女の忠実な下僕である。  下僕に魔法を使うのは三流の魔女のみ。  大魔女の名において、自我を失った犬に命じる。  ――お前たちを大魔女(ヘルトルーデ)の下僕とする。  犬の目を見つめて念じたなら、彼らの本能が働き、恐怖を察知する。  私に対する恐怖によって【魅了】の魔法が破壊された。
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