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犬は低い唸り声から、きゅーんと可愛い声で鳴き、私の前におすわりをして尻尾を振る。
「えっ!?」
クリスティナは驚きの声をあげた。
「ほら、レクス様。ご覧になってください。とっても従順で賢い犬たちですわ」
土の壁の中から、犬を抱き上げて私が微笑んだ。
「レクス様。犬たちのしつけが気になるのでしたら、私が犬たちをしつけますわ。それなら、よろしいでしょう?」
「ああ」
レクスは土の壁を消し、犬たちを解放する。
犬は誰が主かわかっており、私の元に集まり、忠実な下僕姿を見せていた。
逃げ惑っていた侍女たちは、私が襲われないのを見て驚く。
「ユリアナ様、すごいわ。あんな狂暴だった犬を一瞬で手懐けさせるなんて!」
「ふだんから、アーレント様とフィンセント様がなでても怒らない犬たちが、クリスティナ様を襲うなんて驚いたわ」
「あんなおとなしい犬たちを怒らせるなんて。クリスティナ様はいったいなにをなさったのかしら?」
皇宮の猟犬は優秀な森番によって、しっかりしつけされている。
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