11 守ったのは

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 ここで暮らす人々は、それを知っており、知らないのはクリスティナだけだったようだ。  犬を助けることができ、アーレントとフィンセントは嬉しそうに、犬に頬ずりをしていた。 「いぬさん、かあいい!」 「きらきら、きえた」  ちらりとクリスティナに目をやると、青い顔をし、レクスの後ろに隠れている。  私は余裕の笑みを浮かべ、クリスティナに言った。 「クリスティナ。これ以上、怪我をしないよう気をつけてね」  私はクリスティナに忠告したつもりだった。 「皇妃様……。お優しい言葉をかけていただきありがとうございます」  クリスティナが勘づくかと思ったけれど、今までユリアナがあまりに弱々しかったせいか、私への警戒はゼロ。    ――【魅了】が破られて犬の支配。どこかに魔女(どうぎょうしゃ)がいるって気づかないなんて、おかしいわね。  それか、クリスティナ自身が魔女ではなく、魔女と手を組んでいるだけである可能性もある。  魔法の知識がないのであれば、なにが起きたかわからない。  でも、今まで魔女の力だけを借りる人間を見たことがなかった。
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