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ここで暮らす人々は、それを知っており、知らないのはクリスティナだけだったようだ。
犬を助けることができ、アーレントとフィンセントは嬉しそうに、犬に頬ずりをしていた。
「いぬさん、かあいい!」
「きらきら、きえた」
ちらりとクリスティナに目をやると、青い顔をし、レクスの後ろに隠れている。
私は余裕の笑みを浮かべ、クリスティナに言った。
「クリスティナ。これ以上、怪我をしないよう気をつけてね」
私はクリスティナに忠告したつもりだった。
「皇妃様……。お優しい言葉をかけていただきありがとうございます」
クリスティナが勘づくかと思ったけれど、今までユリアナがあまりに弱々しかったせいか、私への警戒はゼロ。
――【魅了】が破られて犬の支配。どこかに魔女がいるって気づかないなんて、おかしいわね。
それか、クリスティナ自身が魔女ではなく、魔女と手を組んでいるだけである可能性もある。
魔法の知識がないのであれば、なにが起きたかわからない。
でも、今まで魔女の力だけを借りる人間を見たことがなかった。
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