11 守ったのは

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 長く生きている私だけど、私が知らない魔法が存在しているようだ。 「皇帝陛下。皇妃様は寛大でいらっしゃいますわ」  クリスティナが胸の前に手を組み、きらきらした目でレクスに言った。 「皇帝陛下は愛する妻ではなく、私を守ったのに嫌な顔ひとつされないなんて驚きましたわ」  ――え? そうだった?    この時、私とハンナ、侍女たちは同じ顔をしていたと思う。  でも、クリスティナは勝手にそういうことにしてしまった。 「ありがとうございます。皇帝陛下の身に危険が迫った際は、私がお守りいたします」 「俺は……」  クリスティナはすばやく、なにか言おうとしたレクスの言葉を遮った。 「皇妃様は皇帝陛下を愛していないのですね」  しんっと静まり返り、レクスは否定せず黙り込んだ。  今までの夫婦仲は冷めきったものであり、過去を振り返れば、誰も違うとは言えなかった。    ――私が愛の告白をすれば解決なんだろうけど、レクスに愛してるって言うの? 私がレクスに愛の告白なんかできるわけないでしょ!  心の中では二人の私が争っていた。
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