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『さあ! 夫を愛する妻を演じるのよ!』
『将来、ボコボコにする予定のレクスに愛の告白? 冗談じゃないわ!』
ユリアナであろうとする私と大魔女の私が、バチバチ戦っていた。
戦っている間に、クリスティナは次の手に出ていた。
「皇帝陛下。私、気分が……」
クリスティナが足元をふらつかせ、倒れそうになったのをレクスが支えた。
支えたレクスは、こちらをちらりと見て、私を責めるような目をした。
――レクスは妃からの愛の告白を待っていたの?
「平気か?」
「申し訳ありません……」
クリスティナの瞳がレクスを捕らえ、【魅了】の魔法を使用する。
魔女が見つけたレクスの心の隙。
それは『孤独』だ。
――そう……。レクスの心の隙は孤独から生まれたものだったのね。
父と兄を殺し、一人になったレクスが迎えた妻。
家族となるはずが、妻とは不仲で拒絶される日々。
孤独な皇帝の心の隙に入り込んだ卑劣な【魅了】の魔法は、やがて国を滅ぼす。
私と弟子たちによって、倒される日がルスキニア帝国最後の日となる。
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