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「おかーしゃま……」
「きらい? ふぃん、きらい?」
「えっ!? そんなわけないわ。大好きよ」
不安にさせてしまったのか、アーレントとフィンセントを安心させるために、二人をぎゅっと抱きしめた。
レクスには言えなかった愛の言葉を子供たちには言える。
――嘘でも言うべきだったのだろうか。
嘘でも言えたはずなのに、私は言えなかった。
「部屋まで送ろう」
レクスの口から出た言葉に、クリスティナが微笑む。
でも、侍女たちはその様子を見て、以前のように応援しなかった。
私を気遣っているのがわかり、皇宮の使用人たちの【魅了】はほとんど解けたようだ。
――完全に破られた【魅了】は、二度目から効きにくくなる。向こうは内心、焦っているでしょうね。
ただ、肝心なレクスの【魅了】はまだ破られていない。
寄り添う二人を見たアーレントとフィンセントは怒っていた。
「きらきら、めっ!」
「おとーしゃま、きらきら!」
子供たちは、レクスに【魅了】魔法を使われたと気づいている。
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