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クリスティナの失敗は、子供たちに【魅了】魔法を使えなかったことにある。
私の守護魔法で、手痛いしっぺ返しをくらったクリスティナが、ふたたび子供たちに手を出すとは思えない。
――子供たちが無事だっただけでも喜ぼう。
「レクス様。私は犬のしつけがありますから、失礼いたします」
「ユリアナ、待て」
「なんでしょう?」
「怪我はなかったか?」
――【魅了】の魔法が効いているはずなのに、私を心配した?
それだけじゃない。
私が数百年生きてきて、心配されたのは、これが初めてのことだった。
「……ありませんけど」
「それならいい」
――レクスが『愛されない皇妃』を守っただけじゃなく、心配するなんて。
【魅了】の魔法を長く使用され、強く影響されているはずのレクス。
驚いているのは、きっと私だけではない。
――そうでしょう? 【魅了の魔女】。
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