11 守ったのは

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 クリスティナの失敗は、子供たちに【魅了】魔法を使えなかったことにある。  私の守護魔法で、手痛いしっぺ返しをくらったクリスティナが、ふたたび子供たちに手を出すとは思えない。    ――子供たちが無事だっただけでも喜ぼう。 「レクス様。私は犬のしつけがありますから、失礼いたします」  「ユリアナ、待て」 「なんでしょう?」 「怪我はなかったか?」  ――【魅了】の魔法が効いているはずなのに、私を心配した?   それだけじゃない。  私が数百年生きてきて、心配されたのは、これが初めてのことだった。 「……ありませんけど」 「それならいい」  ――レクスが『愛されない皇妃』を守っただけじゃなく、心配するなんて。 【魅了】の魔法を長く使用され、強く影響されているはずのレクス。  驚いているのは、きっと私だけではない。  ――そうでしょう? 【魅了の魔女】。
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