そして誰もいなくなった?

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 雨は朝早くに止んだようだ。木立の青葉からは、昨夜降った雨の雫がしたたり落ちていて、遠くに見える山並みの上空は青く澄んでいる。朝の太陽は山の背の少し上で輝いていた。今日は快晴になると天気予報は言っていたけれど、外れなかったようだ。 「リョウの奴、いつになったら起きてくるんだ」  食堂の窓から外の景色を眺めていた僕の背後から、マサの声が聞こえた。振り向くと、マサは苛立った様子でテーブルの天板を指でこつこつと叩いている。 「まあ、もうちょっと待ってみよう」  撲が言った。 「大方、寝坊してるんだろう」  キッチンからドクが現れた。 「よし、俺が呼んで来る」  マサの隣で、だらしなく椅子に座ってテレビを見ていたキリリが、「どっこいしょ」と言って立ち上がった。ゆっくりと食堂の出口に向かう。途中、わざと体を大きく傾がせて、滑って転びそうなアクションを見せた。面白い奴だ。僕が落ち込んでいるときなんか、おどけて楽しい気持ちにさせてくれる。  僕はまた目を窓の外に向けた。
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