笑み花

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 まち子さんのお母さんは、昔ながらのあっさりしょう油ラーメンを、まち子さんは、欲張りお子さまランチを注文して、僕は伝票片手に厨房に戻る。 「あっさりしょう油ラーメン一つ、欲張りお子さまランチを一つ」 「はいはい」  僕と共に笑み花の厨房に立つのは、僕の妻の小湊いづみ。 「嬉しそうね。大樹(たいき)」 「いづみこそ」  お互い三十七歳の初婚同士。子供を望んだこともあったけれど、金銭面で諦めざる終えなかった。 「大樹、ありがとう」  妻は笑顔になりテーブル席へと注文の品を運んでいく。どんな形であれ子供たちの成長を見れるのは僕ら夫婦の笑みの一つにもなっている。 「お待たせしました。お母さんはあっさりしょう油ラーメン。まち子さんは欲張りお子さまランチね」  親子の嬉しそうな声が奥の厨房まで響いてくる。きっとそれを見て、いづみも微笑んでいることだろう。
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