《2》

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《2》

都会でのお洒落で華やかな生活に憧れて上京したものの、理想と現実のギャップに疲れて逃げるように地元へ戻ってきたのが2年前。 散々親に我が儘を言って家を出た手前、虫の良い話だと思うけれど、元来ののんびりとした性質が都会の目まぐるしい時間の流れにそぐわなかったと自己分析している。 地元に戻ってきてからは、こじんまりとしたお菓子メーカーに就職し、新製品開発や既製品の改良等を担っている。 甘い物が大好きだから、常にお菓子の事を考え、それに携われる今の仕事は天職だと思ってる。 勤める会社は、小さな企業ながらも福利厚生は充実している。 お菓子に関わっているからといって、社員が醜く太っていたらイメージがよろしくないと考える社長の方針により、スポーツジムへの入会が義務付けられている。 その上、糖分や脂分による吹き出物対策に月1でフェイシャルエステに通わせてくれる。 勿論費用は会社が負担。 通勤や食事の手当てはとても手厚く、産休育休は気軽に取得出来る。 産休育休に関しては当たり前の事だけど、それをさせてくれない企業が多いのが実情だ。 残業はほぼない。 従業員同士のチームワークは良く、人間関係は良好。 プライベートでの飲み会はあっても、会社主宰の強制参加の飲み会はない。 今時希少なホワイト企業なんだと思う。 会社の業績からして給与は物凄く高い訳でもないけれど、とても居心地好く、働き易い環境に感謝している。 遣り甲斐や収入も大事だけれど、それ以上に働き続けられる環境か否かは非常に重要だもの。
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