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と、食い下がってはみたものの、持ち合わせがないのは変わりなく、最悪スマホ決済かカードか、一旦立て替えて貰うしか手立てはない。
「ここは僕が出しますから、気にせず召し上がってください」
「ですが……」
「遠慮は無用です。僕はただ朝比奈さんと一緒に美味い物を食べたかっただけなので」
優しく微笑む親跡さんを前に、私はただ小さくなるしかなかった。
「ありがとうございます」
「沢山食べてください。それにしても……腹、減りましたね」
胃の辺りを擦りながら子供みたいに無邪気な笑顔を向ける親跡さん。
普段のスマートな印象からのギャップに驚きつつも、少し萌えた。
個室だから部屋には私と親跡さんの二人だけ。
それプラス、部屋のあちこちにある赤や金の装飾が派手で、何だか落ち着かない。
キョロキョロと辺りを見回す私と違って、こういった雰囲気に慣れているのか親跡さんは至って冷静。
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