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「お付き合いして頂けませんか?朝比奈さんの事をもっと知りたいです」
まだほんの数回……片手で数えられる程しか会っていない。
しかも仕事上だけの付き合いだ。
それでも私の中での彼の印象はとても良い。
見た目の清潔感や誠実そうな雰囲気、仕事に向ける真摯な態度はどれも魅力的だと思う。
実際、彼から思いを打ち明けられて嬉しいと感じる自分がいる。
だけど。
「ありがとうございます」
苦い記憶が私を臆病にさせる。
「お気持ちは大変嬉しいのですが、今は誰ともお付き合いするつもりはありません」
親跡さんの目をまともに見れなかった。
「失礼します。お待たせ致しました。フカヒレの姿煮です」
ここで間が悪い事に、フカヒレが運ばれてきた。
ドンと大皿に盛り付けられた大きなヒレ。
細やかな繊維から成り立っているソレは、トロミのあるスープを纏って艶を放っている。
微妙な空気を打破するように親跡さんが明るく言う。
「冷めない内に頂きましょうか?」
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