《3》

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「まだ何となくしかイメージは浮かんでいませんけど、カカオ分の高いチョコレートと組み合わせたら良いかと考えています」 「ふぅん、チョコレートねぇ…」 「日本酒とチョコは相性抜群です。高カカオのチョコとまろやかで深みのある味わいの“ちかあと”酒造のお酒の組み合わせは絶妙だと思うんです」 固く握り締めた拳を携えて力説する夏川さんを皆が興味深く見守る。 「日本酒という事で、売り込みターゲットは勿論大人。値段設定はやや高めに設定して特別感を出す。パッケージもそれを意識した物にしたいです。消費者には、自分へのご褒美として堪能して頂きたいと考えています」 「なるほど」 「一日の終わりに一つ……口の中で広がる芳醇な香りと深い味を楽しむ、という至高の一時を味わって欲しいんです」 「というか、夏川自身が楽しみたいんでしょ?」 細谷さんのツッコミに夏川さんが苦笑う。 「あはは、バレました?正にそれが狙いです。けど我ながら良い提案だと思うんですが……」 夏川さんが主任の反応を窺うように、彼女の方をチラ見。 それに合わせて皆の視線が主任に集中する。 主任が大きく頷いた。
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