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初めて口にした感想は
「こんな食感なんですね。もっと輪ゴムみたいな味と弾力かと思ってた」
だった。
これには親跡さんが吹き出す。
「輪ゴムを食した事があるんですか?」
興味津々といった具合で私の顔を覗き込んでくる親跡さんに、私は「ないです!」と強めに言う。
「ただ、よく聞く感想がゴムとかの例えで。見た目もそんな感じだし」
ちょっとだけムキになる私を、親跡さんは愉しげに見詰めてくる。
「確かに。でもまぁ、仮に朝比奈さんが輪ゴムを嗜んでいたとしても俺は否定はしませんよ。健康上の心配はしますが」
「いや、否定してください。食べてませんけど」
「ははっ」
ビジネスの場面では難しい顔ばかりであまり笑顔を見せない親跡さんからはどこか冷たい印象を受けていた。
けれども、ビジネスから逸れた今は、屈託なく朗らかに笑っている。
言葉遣いも一人称も砕けた感じになっている。
これが本来の彼なのだろう。
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