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“彼”との最後のやり取りを思い出して、胸がぎゅうっと痛くなった。
もうあんな思いはしたくない。
少しの沈黙の後、親跡さんが静かに口を開く。
「どうか今すぐに答えを出さないで欲しい」
親跡さんは一度咳払いをした。
「親跡旺亮という人間を知った上で判断頂けませんか?」
真っ直ぐに私を見詰める親跡さんの力強い眼差しから彼の真剣さが伝わってくる。
「しつこくて諦めの悪い男だと思ってくれて構いません。それだけ俺は貴女に惹かれているんです」
頬に熱が集中する。
最早食事どころじゃない。
「あ…と、その……」
掠れて上擦った声が出たものの、それ以上は言葉に詰まって出てこない。
こんな情熱的な告白を受けて、尚もピシャリと跳ね除ける強靭な精神は、生憎私は持ち合わせていないようだ。
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