《8》

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結局あの後、親跡さんの告白を断り切れないまま解散となった。 『誤解されないように言っておきますが、今回の企画を受けた動機に俺の個人的な感情は一切関係ありません。仕事とプライベートはきっちり線引きしますので』 別れ際の彼の言葉を思い出しながら、さてどうしたものか……と溜め息を吐いた。 それに夏川さんが食い付く。 「朝比奈さん、悩み事ですか?」 仕事中だという事を思い出し、咄嗟に「何でもない」と返す。 「それより、親跡さんから試飲用に沢山サンプル貰っちゃったんだけど……これどうする?」 昨晩のいただき物を夏川さんに袋ごと手渡した。 夏川さんは、中身を確認して感嘆の声を上げる。 「うっそ!こんなにですか?」 「親跡さんなりにセレクトしてくれたみたいで……この中から使用する物を選ぶにしても、仕事中に飲酒はまずいよね…?」
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