151人が本棚に入れています
本棚に追加
《9》
親跡さんとの約束の日。
「今日は仕事の話は一切ナシにしましょう」
待ち合わせた先で、開口一番に親跡さんが言った。
晴天の爽快さに負けない爽やかな彼の笑顔は、直視するのも照れる程。
「普段はそんな感じなんですね」
休日仕様の私の格好を繁々と眺めて目を細めたかと思うと、すぐに「すみません」と謝られる。
「あまり女性をジロジロ見ては失礼ですね。浮かれてしまって、つい…」
ほんのり赤らんだ頬を隠すように顔を背ける親跡さんは、何だかウブな感じがして可愛らしい。
「ビジネスシーンの朝比奈さんも良いですが、今日の柔らかな雰囲気の朝比奈さんも凄く素敵です」
親跡さんの照れが伝わって、私まで赤面してしまう。
「あ、ありがとうございます……」
とか言いつつ、私だって休日仕様の親跡さんにドキドキさせられている。
最初のコメントを投稿しよう!