《9》

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《9》

親跡さんとの約束の日。 「今日は仕事の話は一切ナシにしましょう」 待ち合わせた先で、開口一番に親跡さんが言った。 晴天の爽快さに負けない爽やかな彼の笑顔は、直視するのも照れる程。 「普段はそんな感じなんですね」 休日仕様の私の格好を繁々と眺めて目を細めたかと思うと、すぐに「すみません」と謝られる。 「あまり女性をジロジロ見ては失礼ですね。浮かれてしまって、つい…」 ほんのり赤らんだ頬を隠すように顔を背ける親跡さんは、何だかウブな感じがして可愛らしい。 「ビジネスシーンの朝比奈さんも良いですが、今日の柔らかな雰囲気の朝比奈さんも凄く素敵です」 親跡さんの照れが伝わって、私まで赤面してしまう。 「あ、ありがとうございます……」 とか言いつつ、私だって休日仕様の親跡さんにドキドキさせられている。
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